バンドで弾くキーボードを選ぶなら、鍵盤数と重さと音色の3つを先に決めてしまうのが近道です。値段や見た目から入ると、練習スタジオまで自力で運べない機材を買ってしまうことがあります。

キーボードバンドという言葉で調べる人の多くは、担当が決まったばかりで何を買えばいいのか分からない状態です。楽器店の選び方ガイドでも、機種名より先に「どう使うか」から逆算する順番がすすめられています。

そこでこの記事では、バンドの中でキーボードがどんな仕事をする楽器なのかを整理したうえで、おすすめの選び方を重さの数字つきで見ていきます。最初の1台で失敗しないための判断材料をそろえる内容です。

  • バンドでのキーボードの役割と、実際に求められる仕事の中身
  • 61鍵・73鍵・88鍵の違いと、自分に合う鍵盤数の決め方
  • おすすめの機種を選ぶときに見るべき音色と操作性のポイント
  • 本体のほかに買いそろえる必要がある周辺のものと予算の目安

バンドの中でキーボードは何をする楽器か

機種を見にいく前に、バンドの中でキーボードが何をしているのかをはっきりさせておくと、必要な機能が自然に絞れます。ここでは役割の側から順番に見ていきます。

役割が分かると、「この機能は自分には要らない」という判断ができるようになります。予算の配分もそこで決まります。

バンド内でキーボードが担う4つの仕事の図

バンドでのキーボードの役割は3つ

バンドでのキーボードの役割は、和音を支える・すき間を埋める・旋律と色をつけるの3つに整理できます。この3つを頭に置いておくと、練習中に何を弾けばいいか迷いにくくなります。

なぜこの3つになるかというと、キーボードは音域も音色も自由に動かせる楽器だからです。ギターやベースは担当する音域がほぼ決まっていますが、キーボードは低音から高音まで移動でき、鳴らす音そのものを差し替えられます。結果として「足りていないところを埋める係」が回ってきます。

たとえばギター1本の4人編成では、ギターがソロに出た瞬間に和音を鳴らす人がいなくなります。そこで伴奏を受け持つのがキーボードです。逆にサビでギターが厚く鳴っているときは、下地の持続音だけにして引くほうがまとまります。

「地味で面白くなさそう」と感じる人もいます。ただ、キーボードが抜けた音源と入った音源を比べると差がすぐ分かります。ヤマハの軽音楽部向けサイトにもバンドキーボードの選び方のページが用意されていて、音色の幅の広さが前提として扱われています。

この3つは、曲ごとに比重が入れ替わります。ピアノが前に出るバラードでは和音を支える仕事が中心になり、シンセの効いた曲では色をつける仕事の比重が上がります。同じバンドの中でも、曲順が進むにつれて担当する役割が変わっていく形です。

つまり、キーボードは「目立つ楽器」ではなく「曲の形を決める楽器」です。この3つの役割を意識して選ぶと、必要な音色と機能がはっきりします。

ギターのパワーコードを支える3度の音

ロック寄りのバンドでは、曲が明るく聞こえるか暗く聞こえるかをキーボードが決めている場面があります。これが役割の中でいちばん見落とされやすい部分です。

理由は、ギターのパワーコードの構造にあります。パワーコードは根音と5度だけを鳴らす弾き方で、長調と短調を分ける3度の音が入っていません。ギターが歪んだ音でパワーコードを刻んでいるとき、3度を出せるのはキーボードだけということが起こります。

具体的には、Cのパワーコードはドとソだけなので、それだけではメジャーかマイナーか決まりません。キーボードがミを足せば明るいC、ミの半音下を足せば暗いCマイナーになります。同じリフでも、鍵盤側の1音で曲の表情が入れ替わります。

ここで気をつけたいのが、ギターがフルコードを弾いている曲で同じ音域を重ねることです。同じ高さで同じ和音を鳴らすと、輪郭がぼやけて濁ります。オクターブを離す、転回形を変える、鳴らす音数を減らす、といった調整で回避できます。

役割の分担を決めるときは、練習の場でギターの人に「この曲はフルコードかパワーコードか」を聞いてしまうのが早道です。パワーコードだと分かれば鍵盤は3度を含む和音を鳴らし、フルコードなら音域をずらすか白玉に切り替える、という判断がその場でできます。言葉で確認しておくだけで、音がぶつかる回数がかなり減ります。

和音の性格を決める音を持っているという意味で、キーボードはバンドの土台側の楽器です。パワーコード中心の曲があるバンドほど、この役割の比重が大きくなります。

パッドとストリングスですき間を埋める

バンドの音が薄く感じるとき、解決の手段になりやすいのがパッド系の持続音です。曲の後ろでずっと鳴っている、輪郭のやわらかい音を指します。

パッドが効くのは、ギターとベースの間に空いた帯域を埋められるからです。ギターは中高域、ベースは低域を受け持つので、その中間に空白ができます。ストリングス系やシンセパッドの音色は、その空白をなだらかに埋めて全体の厚みを作ります。

使いどころとしては、音数が減るBメロ、ギターソロの裏、最後のサビの手前などが分かりやすい例です。コードを白玉で押さえておくだけでも、曲の空気が変わります。楽器を始めたばかりでも取り入れやすい弾き方です。

一方で、最初から最後まで鳴らし続けると全体がもやっとします。音量を上げすぎると歌の邪魔にもなります。出し入れの設計まで含めてパッドの仕事だと考えておくと、バンド内での評価が安定します。

音を重ねる位置にもこつがあります。歌と同じ高さでパッドを鳴らすと声が埋もれるため、歌より低い帯域か、逆にかなり高い帯域に置くと混ざりにくくなります。コードの根音はベースが鳴らしているので、鍵盤側は根音を省いて3度と7度あたりを中心に押さえると、全体がすっきりします。

すき間を埋める音を持っているかどうかは、機種選びの基準にもなります。パッドやストリングスの質は機種ごとに差が大きい部分です。

ピアノとエレピとオルガンの使い分け

最初の1台に求められる音色は、ピアノ・エレピ・オルガンの3つです。楽器店のバンド向けガイドでも、この3つが定番音色として紹介されています。

3つが定番になっている理由は、日本のポップスとロックで使われる頻度が高いからです。手持ちのコピー曲を並べてみると、大半がこのどれかに当てはまります。まずこの3つが気持ちよく鳴る機種を探すと、選択肢が現実的な数まで絞れます。

バンドで出番が多い音色と使う場面の一覧

使い分けの目安はこうなります。ピアノは芯が強く、バラードやサビの厚みに向きます。エレピは輪郭がやわらかく、静かなAメロやゆれる伴奏に合います。オルガンは音が減衰せず伸び続けるので、盛り上がる場面で壁のように後ろを支えられます。

ピアノ音色をほとんど使わないジャンルもあります。シンセ主体の曲を中心にやるバンドなら、ピアノの質より音作りのしやすさを優先する選び方もあります。

この3つに加えて、パッドとストリングス、それにベルやブラスがあると対応できる曲がぐっと増えます。ただし優先順位は明確で、定番3音色が納得できない機種は、どれだけ他の音色が多くても現場で使いにくくなります。音色表の総数ではなく、よく使う数個の完成度を見るのが判断の軸です。

音色の名前だけで判断せず、店頭で同じ曲のフレーズを弾き比べるのが確実です。同じ「エレクトリックピアノ」でも、機種によって重さも歯ざわりもかなり違います。定番3音色の鳴り方は、そのまま機種の性格を表しています。

リード音色で旋律を取るときの注意

イントロや間奏で旋律を取るのも、キーボードのよくある仕事です。ここでは歌の裏で動きすぎないという点が要になります。

理由は、リード音色が耳を強く引くからです。シンセリードやベルのような音は、音量が小さくても前に出てきます。歌が入っている区間で細かく動くと、聴き手の注意が二つに割れてしまいます。

実際の配分としては、歌のない区間で動き、歌が入ったら白玉やパッドに切り替えるのが扱いやすい形です。オブリガートを入れる場合も、歌のフレーズが切れた隙間に短く置くと収まります。合いの手のイメージに近い使い方です。

機能の面では、ピッチベンドとモジュレーションのレバーやホイールが手前についている機種が有利です。旋律を弾きながら左手で音を揺らす操作は、リード音色の表情に直結します。鍵盤の左端に何がついているかは実物で確認しておきたい部分です。

音量の設定にも注意が必要です。伴奏用のパッドとリード音色では、同じ設定でも聞こえ方の差が大きく出ます。リハーサルの段階で、リードに切り替えた瞬間に音が飛び出さないかを確かめておくと本番で慌てません。機種によっては音色ごとの音量を保存できるので、その機能があるなら先に調整しておきます。

旋律を取る楽しさはキーボードの魅力の一つです。ただし出番を絞るほど効果が上がる種類の役割でもあります。

パソコン用のキーボードとは別の道具

キーボードという言葉は文字入力の機器も指すため、検索すると話が混ざります。バンドで使う鍵盤楽器とパソコン用の入力機器は、まったく別のジャンルの製品です。

理由は単純で、目的が違うからです。鍵盤楽器は音を出すための楽器で、音源とスピーカー出力を持ちます。パソコン用の入力機器は文字と命令を送るための道具で、音は出ません。売り場も価格帯も別です。

とはいえ、キーボードを担当すると音源の管理や譜面の表示でパソコンを触る機会が増えます。作業用の入力機器を見直したい場合は、キーボードは有線と無線どっちがいい?選び方を解説!で接続方式の違いをまとめています。打鍵の感触で選びたいならキーボードの打鍵音が気持ちいい軸は?選び方を解説!、配列で迷ったときはキーボード配列はなぜバラバラ?理由と選び方を解説!が参考になります。

なお、鍵盤楽器の中にも「MIDIキーボード」と呼ばれる、単体では音が出ずパソコンにつないで使う製品があります。これはバンドの現場で単体では使えないため、最初の1台としては候補から外して考えます。

通販で探すときは、商品の説明に出力端子や内蔵音源の記載があるかを見ると見分けられます。記載が入力の話ばかりなら文字入力用の製品です。鍵盤楽器であれば、鍵盤数、音色数、出力端子の種類が必ず書かれています。

言葉が同じでも中身は別物です。買う前に、自分が探しているのが音を出す楽器なのかを確かめておくと遠回りを避けられます。

キーボードバンドのおすすめの選び方

ここからは実際の選び方です。鍵盤数、重さ、音色と操作性、予算、本体以外に要るもの、という順番で見ていきます。

順番に意味があります。先に運搬の条件を固めてしまうと、候補が一気に減って決めやすくなるからです。音色や価格から比べ始めると、似た機種が横並びになって決め手が見つからなくなります。

なお、ここで挙げる機種名は楽器店のガイドで候補として紹介されているものです。実売価格や在庫は時期によって変わるため、最終的な確認は販売店の最新情報で行ってください。

61鍵と73鍵と88鍵の違いを比べた図

鍵盤数は61鍵と73鍵と88鍵で考える

最初に決めるのは鍵盤数です。担当するパートと運び方の両方から選ぶのが基本の考え方になります。

鍵盤数が増えるほど弾ける範囲は広がりますが、本体は大きく重くなります。島村楽器の鍵盤数の選び方ガイドでは、機種例として61鍵が3.8kg前後から、73鍵が6.8kg前後、88鍵は10.5kgに届くものまであると紹介されています。持ち運びの負担は数字どおりに増えます。

鍵盤数 本体の重さの例 向いている使い方 つまずきやすい点
61鍵 約3.8〜5.6kg リードやオルガン、パッド中心。上段のシンセ 両手のピアノ伴奏で音域が足りなくなる
73鍵・76鍵 約6.8〜7.6kg 両手のピアノとエレピ。左右に分けて使う 61鍵より箱が大きく置き場所を選ぶ
88鍵 約5.8〜10.5kg ピアノ曲を原曲の音域で弾く 階段と電車移動の負担が大きい

楽器店のバンド向け解説では、ベースがいる編成なら61鍵分の音域があれば足りるという見方も示されています。低い音はベースが受け持つため、鍵盤側が最低音まで持つ必要が薄いからです。ピアノ伴奏を全面に出す曲が多いバンドかどうかで、この判断は変わります。

鍵盤の重さの種類も、鍵盤数と一緒に決まってくる部分です。ピアノに近い重さのハンマー鍵盤は88鍵に多く、指の力が要るかわりに強弱がつけやすくなります。軽いシンセ鍵盤は61鍵や73鍵に多く、速いフレーズやオルガンの奏法に向きます。どちらが優れているという話ではなく、弾きたい曲に合うかどうかで選びます。

迷ったときは、いまコピーしたい曲を3曲選んで音域を確かめる方法が分かりやすいです。左手の最低音と右手の最高音が61鍵に収まるなら、その先は軽さを優先して構いません。鍵盤数は多いほど良いという種類の数字ではありません。

重さは運搬の手段から逆算する

鍵盤数と並んで効いてくるのが重さです。自分がどうやってスタジオまで運ぶかを先に決めると、上限が自動的に決まります。

楽器店のバンド向け解説では、電車で移動する場合は一人で背負って運べる10kgくらいが限界という目安が示されています。この数字は本体だけの重さなので、実際にはさらに荷物が増えます。

本体7kgの機種でも、ソフトケース1kg前後、スタンド2〜3kg、ペダルとケーブル類1kg前後を足すと、総重量は11kgを超えます。片道30分の移動なら、この差はかなり大きく出ます。

車を出せる人がバンド内にいるかどうかで、この上限は変わります。毎回車で運べるなら88鍵も現実的な選択肢になります。逆に一人暮らしで電車移動が中心なら、61鍵か73鍵から選ぶほうが長続きします。

「軽い機種は音が軽い」という話を心配する人もいます。ただ、近年の機種は軽量でも音源の質は確保されているものが多く、重さと音質は直結しません。運べない機材は結局スタジオに持っていかなくなるため、まず運搬条件を満たすことが優先です。

運び方そのものを工夫する手もあります。キャリーカートに載せられる形のケースを選ぶ、ホイール付きのハードケースにする、といった方法で体への負担は変わります。ただし階段や改札を通る回数が多い経路だと、カートがかえって扱いにくくなる場面もあります。実際の経路を一度そのまま歩いてみると判断しやすくなります。

重さの上限を決めてから機種表を見ると、候補が半分以下に減ります。ここを飛ばすと、買ったあとで後悔する確率が上がります。

音色の質とツマミの操作性を見る

同じ価格帯で迷ったら、ツマミやスライダーが本体の表に出ているかを見ます。演奏中に手を伸ばして触れる操作子の数が、現場での使いやすさを左右します。

理由は、ライブ中に画面を見ている余裕がないからです。音量、音色の明るさ、エフェクトの深さといった調整は、曲の途中で必要になります。階層メニューの奥に入らないと変えられない機種だと、その場で手が出せません。楽器店のバンド向け解説でも、主要な調整が表のツマミでできる機種が好ましいとされています。

音色の確認は、定番3音色を同じフレーズで弾き比べるのが実用的です。ヘッドホンだけでなく、できればスタジオの音量に近い状態で聞くと差が分かります。たとえばKORGのKROSS2の製品ページのように、搭載音色数や本体重量はメーカーの公式ページで確認できます。

ここで注意したいのが、音色数の多さに引かれすぎることです。数千音色を搭載していても、実際にライブで使うのは10個前後に落ち着くことがほとんどです。数より、よく使う音がすぐ呼び出せる仕組みかどうかを見ます。

あわせて見ておきたいのが、音色の並べ替えができるかどうかです。曲順どおりに音色を並べて登録できる機種なら、ライブ中はボタンを一つ押すだけで次の音に進めます。この機能があるかないかで、本番の落ち着き方がかなり変わります。製品ページでは「セットリスト」「ライブセット」といった名前で紹介されていることが多い機能です。

操作子の配置と定番音色の質、この2点を押さえておけば、現場で困る場面はかなり減ります。

予算帯ごとのおすすめの考え方

予算は本体だけでなく周辺のものを含めた総額で考えます。本体の価格に2〜3万円ほど足した金額が、演奏を始められる状態までの目安になります。

価格帯ごとの考え方を整理すると、次のようになります。実売価格は時期や販売店で変わるため、最終的な金額は購入先の最新情報で確認してください。

価格帯の位置 想定する使い方 よく候補に挙がる機種の例
入門クラス まず1台。軽さと音色数を優先する KORG KROSS2-61、YAMAHA MX61
中級クラス 両手のピアノも弾く。音作りにも踏み込む Roland JUNO-D7、YAMAHA MODX M7
上位クラス ライブが中心。鍵盤の感触まで詰める YAMAHA CK61やCK88、Roland RD-88 EX

入門クラスでも、定番音色とライブに必要な機能はそろっています。最初から上位機種を狙うより、1年使ってみて不満が出た部分を次の1台で埋めるほうが、結果として無駄が少なくなります。

オルガンの音を主役にしたい人や、ステージ数が多い人は、専用の設計になっている機種が候補に入ります。ただしその分だけ重さと価格が上がるため、最初の1台としては慎重に考えたいところです。

買う時期でも総額は動きます。新しい型が出た直後は前の型の価格が下がりやすく、機能の差が小さければ狙い目になります。逆に、学生の入学時期は入門機の在庫が薄くなることがあります。急いでいないなら、候補を決めてから数週間ほど価格の動きを見ておく方法もあります。

予算配分で失敗しやすいのは、本体に全額を使ってスタンドやペダルの分が残らないケースです。総額で考える癖をつけておくと安全です。

本体のほかに必要になるもの

鍵盤本体を買っただけでは、スタジオで音を出せません。スタンドとペダルとケーブルは、最初の買い物と同時にそろえる前提で考えます。

鍵盤本体のほかに用意するもののチェックリスト

スタンドはX型が軽く、価格も抑えめです。将来2段にする可能性があるなら、高さの調整幅と耐荷重を見ておきます。ペダルは音を伸ばすサスティンペダルが基本で、極性の切り替えスイッチがついている製品だと、機種を買い替えても使い回せます。

ケーブルは、ステレオ出力の機種なら左右で2本必要です。スタジオのミキサーやアンプまでの距離を考えると、3メートル前後が扱いやすい長さになります。断線したときのために予備を1本持っておくと安心です。

電源タップも1つあると便利です。ステージや練習スタジオではコンセントの位置が毎回違い、鍵盤とエフェクターの両方に電源が要る場面が出てきます。

スタンドの高さも軽く見られがちな部分です。立って弾くのか座って弾くのかで適切な高さが変わり、合っていないと手首に負担がかかります。購入前に、椅子に座った状態でひじが軽く曲がる高さを測っておくと選びやすくなります。バンドでは立って弾く場面も出てくるため、上下の調整幅は広めのものが扱いやすくなります。

ヘッドホンは自宅練習と音作りの確認に使います。ソフトケースは移動の回数が多いほど厚みのあるものが安心です。まとめて買うと金額が大きく見えますが、どれも長く使える種類のものです。

中古と初心者セットで気をつける点

予算を抑えたいときは中古やセット品も選択肢になります。ただし鍵盤の状態と付属品の有無だけは事前に確認しておきたいところです。

理由は、鍵盤部分が消耗品だからです。長く弾かれた個体は、特定の鍵だけ戻りが遅かったり、押し込んだときに横へぶれたりします。音源やボタンが無事でも、鍵盤の不具合は修理費が高くつきやすい部分です。

実際に確認するときは、白鍵と黒鍵を端から順に押していき、沈む深さと戻る速さがそろっているかを見ます。あわせて画面の表示欠け、ツマミのがたつき、出力端子の接触も確かめます。純正の電源アダプターが付属しているかも重要で、欠品していると別途購入が必要になります。

初心者向けのセット品は、必要なものが一度にそろう利点があります。一方で、付属のスタンドやヘッドホンは簡易な作りのことがあります。本体が目当てなら、セットの価格差と付属品の質を見比べてから決めると納得しやすくなります。

発売からかなり年数が経った機種にも注意が必要です。修理に必要な部品の保有期間が過ぎていると、故障したときに直せない場合があります。型番が分かったら、メーカーの公式ページで現行品かどうかを調べておくと判断材料になります。

保証の有無も判断材料です。楽器店の中古は保証期間が設定されていることが多く、個人間の取引より安全度が上がります。

スタジオでの接続と音出しの手順

買ったあとで最初につまずきやすいのが、スタジオでの接続です。電源、出力、音量の順番で進めると、事故を起こさずに音を出せます。

順番に意味があるのは、つないでいる途中でスピーカーから大きな音が出るのを避けるためです。ミキサーやアンプの音量を上げたままケーブルを抜き差しすると、機材にも耳にも負担がかかります。最後に音量を上げる流れにしておけば、この危険が消えます。

実際の手順は次のようになります。

  1. スタンドを組み、鍵盤本体を水平に置いて電源アダプターをつなぐ
  2. ミキサーやアンプ側の音量が下がっていることを目で確認する
  3. 鍵盤の出力端子からケーブルをつなぐ。ステレオ出力なら左右2本
  4. 鍵盤本体の電源を入れ、本体側の音量をいったん中ほどに合わせる
  5. ミキサー側をゆっくり上げ、和音を弾きながら他の楽器との釣り合いを取る

ライブハウスでは、鍵盤の出力をダイレクトボックスという機器に通してから卓へ送ることがあります。この機器は会場側が用意していることが多いため、自分で買いそろえる必要はありません。当日は出力端子の位置と本数を伝えられるようにしておけば十分です。

本体側の音量を最大にして、ミキサー側を絞る組み合わせは避けます。音が割れやすくなり、ノイズも乗りやすくなります。両方を中ほどに置いてから調整するのが扱いやすい形です。

接続は覚えてしまえば数分で終わります。最初の数回だけ手順を書いたメモを持っていくと、落ち着いて準備できます。

担当が決まったら最初にやる練習

機材がそろったら練習の順番です。コードを白玉で押さえられる状態まで持っていければ、合奏には参加できます。

速く指を動かす練習を先にしない理由は、バンドの中で求められるものが違うからです。合奏で最初に必要になるのは、決められた場所で決められた和音を正確に鳴らすことです。指が速く動いても、和音が合っていなければ曲は成立しません。

具体的な進め方としては、まずコピーしたい曲のコード進行を書き出します。次に、右手だけで和音を白玉で押さえて最後まで通します。それができたら、和音の形を変えずに押さえ方だけを入れ替える転回形を覚えます。転回形を使うと手の移動が減り、音のつながりもなめらかになります。

ここまで来たら、左手で根音を足すか、パッドの音色に切り替えて伸ばすかを曲ごとに決めていきます。左手を足す段階で急に難しく感じる場合は、無理に入れずベースに任せて構いません。

練習の順番を間違えなければ、ピアノの経験がなくてもバンドに入れます。まず鳴らす場所を覚え、動きは後から足すという流れが近道です。

キーボードバンドに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 61鍵だとバンドで足りなくなりますか?

A. ベースがいる編成で、リードやオルガン、パッドが中心なら61鍵で足りる場面が多くなります。足りなくなりやすいのは、左手で低音の伴奏を弾きながら右手で高い旋律を取る弾き方をするときです。コピーしたい曲の楽譜を開いて、最低音と最高音が61鍵の範囲に入るかを先に確かめると判断できます。収まらない曲が半分以上あるなら、73鍵以上を検討する段階です。

Q2. 家にある電子ピアノをバンドに持っていってもいいですか?

A. 外部出力の端子があり、持ち運べる形なら使えます。確認したいのは、ミキサーやアンプにつなぐための出力端子があるかどうかです。ヘッドホン端子しかない機種でも接続はできますが、音量の扱いが難しくなります。据え置き型で脚が一体になっているものは運搬が現実的でないため、その場合は別に用意することになります。

Q3. スタジオで音を出すには専用のアンプが要りますか?

A. 多くの練習スタジオにはミキサーとスピーカーが備わっているため、そこへつなげば専用のアンプがなくても音を出せます。当日あわてないように、スタジオの設備一覧を予約時に見ておくと安心です。ライブハウスでも卓へ直接送る形が一般的です。自前のアンプが必要になるのは、特定の音を作り込みたい段階に入ってからです。

Q4. ピアノ経験がなくてもバンドのキーボードはできますか?

A. 白玉でコードを押さえるところから始められるため、経験がなくても参加できます。最初に覚えると効果が大きいのは、よく出てくるコードの押さえ方と、右手を動かさずに和音を切り替える転回形です。曲の中で全部を弾こうとせず、鳴っていない帯域を埋める意識を持つほうが早くまとまります。指を速く動かす練習は、その後で構いません。

キーボードバンドのおすすめ選びのまとめ

キーボードバンドのおすすめを考えるときは、役割から必要な機能を決め、運搬の条件で鍵盤数と重さを絞るという順番が確実です。機種名から入ると比較の軸が定まらず、決め手のないまま時間だけが過ぎます。

バンドでのキーボードの仕事は、和音を支えること、すき間を埋めること、旋律と色をつけることの3つでした。この3つを満たすには、ピアノとエレピとオルガンが気持ちよく鳴り、パッド系の音色を持っている機種であれば足ります。音色数の多さは決め手になりません。

鍵盤数は、ベースがいる編成でリード中心なら61鍵、両手のピアノを弾くなら73鍵から76鍵、原曲どおりのピアノを弾くなら88鍵が基準です。電車で運ぶなら本体10kg前後が上限で、スタンドやケース類を足すと総重量はさらに増えます。

本体、スタンド、サスティンペダル、シールド2本。まずこの4つがそろえば、スタジオで音を出せる状態になります。残りは必要になった時点で足していけば間に合います。

買ったあとに困りやすいのは、機種選びよりも当日の接続と練習の順番でした。電源、出力、音量の順でつなぐこと、白玉のコードから練習を始めることの2つを押さえておけば、最初の合奏はそれで乗り切れます。

最後にもう一度整理すると、選ぶ順番は「役割」「運搬」「音色と操作性」「総額」です。この順で条件を固めていけば、キーボードバンドのおすすめとして自分に合う1台が自然に残ります。長く続けるほど、運べる重さと触りやすい操作子のありがたさが効いてきます。

買い替えを考えているとき



その不調、機器の側かもしれません

困りごと別に、買い替えを考えるときの目安をまとめています。買う前に確かめたいことも書いています。

買い替えの目安を見る