モニターに虫が入る原因は?対処法を解説!
画面のすみに小さな黒い点が見えて、目をこらすとその点がゆっくり動いている。モニターに虫が入るというトラブルは、めずらしい事故ではありません。液晶のパネルは放熱の都合で完全な密閉構造にできないため、体長1ミリ前後の小さな虫なら内部まで入り込めてしまいます。
やっかいなのは、あわてて手を出すと虫よりも高くつくことです。画面を押す、殺虫剤を吹く、ネジを外して開けてみる。どれも虫は取れないうえに本体を傷め、メーカーの保証も使えなくなります。順番を間違えなければ、直せる可能性は残ります。
この記事では、虫がどこから入ってどこに溜まるのかという構造の話から始めて、黒い点の正体を切り分ける方法、自分で安全に試せる手順、保証と修理費用の現実、そして再発を防ぐ環境づくりまでをまとめます。
この記事で分かることは次の4つです。
- モニターに虫が入る原因と、内部のどこに入り込むのかという仕組み
- 画面の黒い点が虫なのかドット抜けなのかを切り分ける手順
- 本体を壊さずに試せる対処と、やってはいけない対処の線引き
- メーカー保証の扱いと、修理と買い替えのどちらを選ぶかの目安
モニターに虫が入る原因と侵入の仕組み
まずは相手の正体をつかみます。虫がどこから入り、画面のどの層で止まるのかが分かると、取れる見込みがあるのかどうかも見当がつきます。ここでは構造、虫の種類、侵入ルート、誘われる理由、見分け方、起こりやすい時期の6点を順に見ていきます。
液晶パネルは密閉構造ではない
結論から書くと、モニターの内部に虫が入るのは故障ではなく構造上の性質です。液晶は自分で光らないので、背面にバックライトを置いて光を通しています。この光源は熱を持つため、熱を逃がす経路を確保する必要があり、パネルの周囲を完全に接着して閉じきる設計にはなっていません。
実際、テレビや液晶ディスプレイのメーカーも同じ説明を公開しています。ハイセンスのサポート情報では、パネルは構造上まったくの密封にはできず、バックライトと拡散板のあいだに接着されていないすき間があるため、小さな虫が入り込むことがあると案内されています。
パネルは構造上完全に密封構造にすることができず、バックライトや光を拡散させる板がパネルの裏側にあり、それらは密閉も完全に接着もされていないため、小さな虫が入り込むことがある。(ハイセンスのよくあるご質問より要約)
言い換えると、これは製造上の欠陥でも手入れ不足でもありません。安く作られた製品だから入るというわけでもなく、価格帯の高い製品でも同じ経路が残ります。画面が薄く大きくなるほど放熱の必要も増えるため、構造の面ではむしろ条件が厳しくなります。
ここで押さえておきたいのは、虫が入るのは液晶の層そのものではないという点です。液晶が封じられているセルのすき間は数マイクロメートルしかなく、1ミリの虫が割り込む余地はありません。虫がたどり着くのは、バックライトと導光板、そして光をならす拡散シートのあいだの空間です。
この空間は画面のすぐ裏側にあたるため、そこに物体があると光がさえぎられ、正面からは黒い点や黒い影として見えます。つまり見えているのは虫の本体というより、虫がつくった影です。裏側の層に落ちているので、表面をいくら拭いても消えません。
影の見え方にも特徴があります。虫が拡散シートに近い位置にいると輪郭がぼやけた薄い影になり、液晶パネルに近い位置まで上がってくると輪郭がはっきりします。同じ虫でも、位置が数ミリ違うだけで見え方が変わるため、日によって濃さが違うように感じることがあります。
この構造を知っておく意味は、対処の限界が先に分かる点にあります。影の正体は画面の裏側にあるので、表から触れる方法では届きません。表面を拭く、フィルムを貼り替える、画面設定を変えるといった作業では消えない理由は、ここにあります。
画面に入り込みやすい虫の種類
モニターの内部に入り込むのは、決まって体長1ミリから2ミリ程度の微小な虫です。大きな虫は物理的にすき間を通れないので、候補はかなり絞られます。よく挙がるのは次のあたりです。
- アザミウマ(スリップス)。体長1ミリから2ミリの細長い虫で、発生時期はおおむね5月から11月。ベランダや室内の植物から室内に持ち込まれます
- チャタテムシ。体長1ミリから2ミリほどで、湿気とカビを好みます。梅雨から夏に室内で増えやすい虫です
- キノコバエやトビムシ。観葉植物の受け皿や土の湿りに集まり、飛んで机まで移動します
- コナダニ類。単体では見えにくく、群れて黒っぽい点に見えることがあります
このうち室内で問題になりやすいのはチャタテムシです。紙や段ボール、壁紙の裏などに生えたわずかなカビをえさにして増えるため、湿度が高い部屋では発生源が見つけにくくなります。特徴と発生条件は、アース製薬の害虫の解説ページに整理されています。
見分けの手がかりは、画面の外で同じ虫を見かけるかどうかです。本棚や押し入れの紙の上で細かい虫が動いているならチャタテムシ、鉢植えの土から小さな羽虫が飛び立つならキノコバエ、洗濯物やベランダの植物から持ち込まれたならアザミウマの線が濃くなります。
種類が分かると対策の方向も決まります。チャタテムシが疑われるなら湿度とカビ、アザミウマやキノコバエなら植物と窓まわりが発生源です。モニターだけを何とかしようとしても、部屋に発生源が残っていれば同じことが繰り返されます。
なお、これらの虫はいずれも人を刺したり噛んだりする種類ではありません。画面の中で動いていると不快に感じますが、健康被害を心配して急いで分解する必要はない相手です。落ち着いて順番に対処していけば間に合います。
虫が中に入るまでのルート
侵入口は大きく4つあります。もっとも多いのが、画面の表示部分と外枠であるベゼルのあいだにできるわずかな段差です。飛んできた虫が画面にとまり、そのまま歩いてふちまで進み、段差から内側へもぐり込みます。虫にとっては暗くて狭い、居心地のよい場所です。
2つめは背面や上部にある放熱用のスリットです。ここは空気が抜ける場所なので、暖かい空気のにおいをたどって入り込みます。3つめはHDMIや電源の差込口のまわりで、ケーブルの束が足場になりやすく、裏側に埃がたまっているとそこが通り道になります。
端子まわりについては、使っていない差込口にキャップが付いている製品もあります。付属していれば挿しておいて損はありませんが、無い場合にテープでふさぐのは避けてください。熱の逃げ道をふさぐ形になり、別の不具合を招きます。
4つめはスタンドや壁掛け金具の取り付け部です。支柱を差し込む穴やネジ穴は完全にふさがっていないことが多く、机の上を歩いてきた虫が下から上がってきます。机に食べこぼしや飲み物の跡が残っていると、ここが入口になりやすくなります。
ノートパソコンの画面でも同じことが起こります。むしろ本体と一体になっているぶん、キーボードのすき間や排気口から入り、そのまま画面側へ移動する経路が増えます。持ち運んで屋外で使う機会が多い場合は、カバンの中で拾った虫が入ることもあります。
入口は1か所ではなく、画面のふち、放熱口、端子まわり、スタンドの4方向にあります。どれもふさぐことはできない部分なので、入口を閉じるのではなく虫を近づけないという考え方に切り替えたほうが現実的です。
光と熱が虫を呼び寄せる理由
虫がわざわざモニターに集まるのには理由があります。ひとつは光です。小さな飛翔性の虫の多くは光に向かって飛ぶ性質を持っていて、暗い部屋でついている画面は、そのまま大きな誘蛾灯として働きます。夜に作業していると虫が画面にとまるのは、この性質によるものです。
もうひとつは熱です。バックライトと基板が発熱するため、稼働中のモニターは周囲より少し暖かくなります。気温が下がる秋口には、この暖かさを求めて内部へもぐり込む個体が増えます。光と熱がそろっている時間が長いほど、虫が入り込む機会は増えます。
3つめは湿度と隠れ場所です。チャタテムシのように乾燥を嫌う虫にとって、機器の内部は湿度が安定していて外敵も入ってこない場所になります。えさになるカビや埃が近くにあれば、そこに居着く理由がそろってしまいます。
画面の明るさ設定も無関係ではありません。輝度を上げた状態で長時間表示していれば、それだけ強い光が出ていることになります。夜間に暗い部屋で作業するなら、輝度を下げて周囲の明かりとの差を小さくしたほうが、虫を引き寄せる力は弱まります。
つまりモニターは、虫から見ると光源と暖房と隠れ家を兼ねた場所です。使っていない時間に電源を落とすだけでも、誘因のうち光と熱の2つを止められます。これは費用のかからない対策として効きます。
黒い点がドット抜けか虫かの見分け方
黒い点が見えたとき、最初にやることは正体の切り分けです。虫、ドット抜け、表面のゴミ、内部の埃では対処がまったく違うので、ここを飛ばすと無駄な作業が増えます。判断の材料は、位置が動くか、形はどうか、拭いて消えるか、の3つです。
| 見え方 | 考えられる正体 | 対応の方向 |
|---|---|---|
| 点がゆっくり動く・日をまたぐと位置が変わる | 生きている虫 | 電源を切って冷ます。自力で出るのを待つ |
| 動かないが輪郭がいびつで脚のような線が見える | 内部で死んだ虫 | 本体を傾けて下へ落とす。無理なら放置 |
| 正方形に近く極小で位置が固定 | ドット抜けや常時点灯 | 仕様の範囲か保証規定を確認する |
| 乾いた布でなでると消える | 画面表面のゴミや皮脂 | やわらかい布で乾拭きする |
| 白い画面でだけ薄く広がって見える | 内部に入った埃 | 分解せず様子を見る |
ドット抜けは画素そのものの不良なので、点の大きさが1画素分しかなく、形も四角に近くなります。これに対して虫の影は0.5ミリから2ミリほどあり、輪郭が丸かったり細長かったりします。ルーペで見て輪郭が四角でなければ、画素の不良ではない可能性が高いと考えて進めます。
なお画素の不良そのものは、現在の製造技術では完全になくせないため、一定数までは不良品ではなく仕様として扱われます。この考え方はEIZOのサポート情報でも説明されていて、規格内の数であれば良品として出荷されます。虫と混同したまま修理に出すと、仕様の範囲という回答で戻ってくることがあります。
切り分けのときに便利なのが、背景色を変えて見比べる方法です。白、黒、赤、緑、青の単色を順に全画面表示すると、常時点灯の画素は黒背景で光り、抜けた画素は白背景で黒く沈みます。虫の影はどの色の背景でも同じ形のまま暗く見えるので、この違いが手がかりになります。
写真に残しておくことも忘れないでください。日付が分かる形で撮っておくと、位置が動いたかどうかを記憶に頼らず判断できます。修理を相談するときにも、いつからどう見えているかを説明する材料になります。
入りやすい季節と部屋の条件
相談が増えるのは、おおむね梅雨から秋の初めにかけてです。アザミウマの発生時期は5月から11月にかかり、チャタテムシは高温多湿の時期に一気に増えます。気温と湿度が上がる時期に、屋内の照明と画面の光が重なると侵入の条件がそろいます。
部屋の条件でいうと、次のような環境は起こりやすくなります。網戸のない窓やすき間のあるサッシの近くに机がある。机の上や足元に観葉植物を置いている。段ボールや古紙を長くためている。エアコンを使わず湿度が高いまま過ごしている。こうした条件は、どれも発生源か侵入経路に直結します。
集合住宅の1階や、庭や畑に面した窓の近くも条件が重なりやすい場所です。外に発生源がある状態でサッシのすき間から入ってくるため、室内をいくら掃除しても数が減らないことがあります。この場合は網戸の破れやサッシのモヘアの劣化を先に確認したほうが早く片づきます。
逆に、湿度が管理されていて植物も紙類も少ない部屋では、同じモニターを何年使っても起きないことがあります。モニターの機種や価格よりも、置かれている部屋の条件のほうが影響は大きいという見方をしておくと、対策の優先順位を間違えにくくなります。
ここまでで、虫がどこから入り、どこで止まり、どんな条件で起きやすいのかが整理できました。次の章では、実際に入ってしまったときに何をして何をしないかを具体的に見ていきます。
モニターの虫を取り除く方法と予防策
ここからは対処の手順です。大事なのは順番で、負担の小さいものから順に試し、途中でやめる判断も用意しておきます。取れないケースも確実にあるため、修理と買い替えの線引きまで含めて考えます。
まず電源を切って様子を見る
最初にやるのは、モニターの電源を切って、できればコンセントも抜いて数時間置くことです。これは虫を弱らせるためではなく、虫がその場に留まる理由である光と熱を止めるためです。生きている虫であれば、暗く冷えた場所から出ていくことがあります。
電源を落とすときは、部屋の照明も一緒に落としておくと効果が上がります。虫は明るい方向へ向かうので、部屋の中でモニターだけが明るいと戻ってきてしまいます。可能であれば窓のカーテンを開け、外光が入る方向に出口を作る形にします。
ノートパソコンの場合は、電源を切ったうえで画面を閉じておくと暗さを作りやすくなります。閉じるときにキーボードとのすき間に力がかからないよう、静かに下ろしてください。翌朝に開けて白い画面で確認するという手順は、外付けのモニターと同じです。
この段階で焦って画面を叩いたり振ったりしないことが大切です。振動で奥へ入り込んだり、内部でつぶれて取り返しのつかない染みになったりします。ひと晩置いてから白い画面で確認し、点が消えていれば解決です。位置が変わっただけなら、まだ生きているという判断材料になります。
置く時間の目安は、夜に電源を切って翌朝に確認する形がちょうど良い長さになります。内部の温度が外気と同じまで下がるには、機種にもよりますが1時間から2時間はかかります。短い時間で見に行くと、まだ暖かいまま動かないという判断になりやすいので注意してください。
数時間から一晩の放置で消えることは珍しくありません。手を動かす前に何もしない時間を先に作るのが、いちばん安全で成功率も低くない方法です。
自分で試せる安全な手順
放置で消えなかったときに試せる作業を、負担の軽い順に並べます。どれも本体を開けない範囲の作業です。
- 白一色の画像を全画面表示して、点の位置と大きさを写真に撮っておきます。あとで変化を比べる基準になります
- やわらかい乾いた布で画面表面を軽くなでます。ここで消えるなら表面のゴミなので、内部の話ではありません
- 電源を抜いた状態でモニターを前に倒し、画面を下向きに近い角度にして数時間置きます。死んだ虫は自重で下へ移動することがあります
- ベゼルのすき間と背面の通気口に、エアダスターを20センチほど離して短く吹きます。缶は必ず立てたまま使い、液が出ないようにします
- 掃除機の細いノズルで、通気口とスタンドまわりの埃を吸います。ノズルを押し当てず、浮いた埃だけを取ります
- それでも変化がなければ作業を止め、下に落ちて目立たなくなるのを待つか、修理の相談に切り替えます
エアダスターは強く近づけて吹くと、かえって虫や埃を画面の中央側へ押し込むことがあります。離して弱く、短く、数回に分けるのが基本です。低温の液が出ると結露や樹脂の白化につながるため、缶を傾けないことも忘れないでください。
傾ける作業をするときは、画面をタオルの上に置き、縁の部分で支えるようにします。パネルの中央に本体の重みがかかると、それだけで表示に跡が出ることがあります。スタンドを外す必要はなく、机の端を使って角度をつける程度で十分です。
なお、複数台のモニターを1台のパソコンで使い回している場合は、切替機やケーブル類の裏にも埃がたまりがちです。周辺の配線をまとめて掃除するついでに、モニター切り替えスイッチの選び方もあわせて見直すと、机の裏の埃だまりを減らせます。
やってはいけない対処4つ
ここは費用に直結するので、はっきり書きます。次の4つは虫が取れないうえに本体を壊すため、試さないでください。
どれも検索するとよく出てくる方法ですが、共通しているのは成功例だけが目立ち失敗例が表に出にくいという点です。うまくいった人は書き込みますが、画面を壊した人はそのまま黙って買い替えます。見えている情報の偏りを差し引いて読んでください。
1つめは画面を強く押すことです。液晶パネルは薄い層が重なった構造で、押した力で層がずれると、虫とは別に押し跡やにじみが残ります。内部の虫を指で移動させようとして、より大きな不具合を作る典型的な失敗です。
2つめは殺虫剤やアルコールスプレーを吹きかけることです。含まれる溶剤は樹脂やコーティングを侵し、画面のくもりや変色を起こします。通気口から内部に入れば基板にもかかります。虫を殺しても内部に死骸が残るだけで、見た目は改善しません。
3つめは自分で分解することです。パネルを開けると、作業中に新しい埃や指紋が入り込み、虫より大きな影が増えることがよくあります。バックライトのフィルムは薄く、一度しわが寄ると元に戻りません。そして分解した時点で、無償修理の対象からは外れます。
4つめは水や洗剤を流し込むことです。すき間から入った水分は乾いても跡が残り、基板に達すれば腐食やショートにつながります。画面の清掃は乾拭きか、布に少量の水を含ませて固く絞る方法までにとどめます。
動画サイトには、パネルを開けて虫を取り出す手順を紹介しているものもあります。手順そのものは成立していても、成功しているのは工具と作業環境が整っている場合です。埃の多い部屋で開ければ、取り除いた虫より多くの埃が新しい影として残ります。
共通しているのは、どれもあとから元に戻せない操作だという点です。虫の影は放置しても悪化しませんが、これらの失敗は残り続けます。迷ったら何もしないほうが損は小さくなります。
メーカー修理と保証の扱い
自分で取れなかった場合、次に浮かぶのがメーカー修理です。ここで知っておきたいのは、虫の混入は多くの場合で無償修理の対象外になるということです。保証は製品の欠陥を直すためのもので、外から異物が入った状態は欠陥として扱われません。
先に引用したハイセンスの案内でも、パネルの構造上あり得ることとしたうえで、保証期間内であっても無償修理の対象外になると明記されています。表現の違いはあっても、異物の混入を保証の対象外とする考え方は、モニターやテレビのメーカーで広く共通しています。
販売店の延長保証も同様で、自然故障を対象とするプランでは異物の混入は範囲外になることが多くなっています。購入時に加入した保証がある場合は、対象範囲の条文を読み、異物や虫という語がどう扱われているかを先に確認してください。
問い合わせるときは、症状を正確に伝えたほうが話が早く進みます。黒い点が動いていたこと、白い画面で位置を確認したこと、表面を拭いても消えないこと。この3点を伝えると、画素の不良なのか内部の異物なのかをメーカー側も切り分けやすくなります。
そのうえで有償修理を依頼すると、作業はパネルユニットの交換になります。分解して虫だけを取り出す作業は、工数と再組み立て後の品質保証の面から、修理として受け付けられないことが一般的です。結果として見積もりはパネル交換の価格になります。
修理費と買い替えの判断ライン
判断はシンプルです。パネル交換の見積もりが、同等品の実売価格の半分を超えるなら買い替えのほうが合理的になります。液晶パネルは本体原価の大きな部分を占めるため、24インチから27インチの一般的な製品では、修理費が新品価格に近づくことも起こります。
そのため実務的には、まず見積もりを取り、そのうえで同じサイズと解像度の製品がいくらで買えるかを並べて比べます。作業日数のあいだ画面が使えないという点も、在宅で仕事をしているなら費用として数えておきたいところです。
使っている年数も判断材料になります。購入から5年以上たっている製品なら、パネルの輝度も落ち、消費電力も新しい製品より大きいのが普通です。修理に本体価格の半分を出すより、新しい製品に置き換えたほうが結果的に安く収まる場面が増えます。
買い替えを選ぶ場合は、同じ失敗を繰り返さないために設置場所から見直します。窓際を避ける、植物を遠ざける、通気口の向きを壁から離すといった条件は、機種選びより先に効きます。そのうえで、価格帯ごとの評価を比較しておくと選びやすくなります。ブランド別の傾向はモニターの評判を比較した記事にまとめています。
買い替えたあとの古い本体も、すぐに手放さずに残す手があります。影が中央にないなら、サブの画面として資料表示や監視用に回せば使い道は残ります。処分するとしても、自治体の小型家電の回収や販売店の下取りを使えば費用はほとんどかかりません。
影が画面のすみにあって作業の邪魔にならない場合は、直さずに使い続けるという選択も十分に現実的です。虫の混入で表示回路が壊れるわけではないので、そのまま寿命まで使い、次の買い替えのタイミングで入れ替える判断も無駄にはなりません。
モニターの虫トラブル対策まとめ
最後に、再発を防ぐ環境づくりをまとめます。効くのは湿度、清掃、光の3つです。まず湿度を60パーセント以下に保つと、チャタテムシのえさになるカビが増えにくくなります。除湿機やエアコンの除湿運転、こまめな換気が基本の対策です。
次に清掃です。モニターの背面と机の裏側は埃がたまりやすく、その埃が虫の住みかとカビの温床になります。月に1回、乾いた布とハンディモップで払うだけでも状況は変わります。段ボールや古紙を机の下に置いたままにしないことも同じ効果があります。
清掃のついでに、壁とモニターのあいだの間隔も見ておいてください。背面を壁にぴたりと寄せると熱がこもり、その暖かさが虫を呼びます。10センチほど離すだけで放熱が進み、埃も掃除しやすい形になります。壁掛けにしている場合は、金具の取り付け部のすき間も忘れずに払います。
そして光の管理です。夜間は網戸を閉め、窓際で画面をつけっぱなしにしないようにします。離席が長いときは電源を切り、スリープではなく表示を消しておくと、光と熱の両方を止められます。ゲーミング用途で明るさを高く設定している場合は、モニター設定の見直しもあわせて行うと効果が出ます。
机のまわりに黄色や青色の粘着トラップを置いておくのも手軽な方法です。飛ぶ虫は特定の色に寄る性質があるため、画面に向かう前に捕まえられます。数が多いときは、どこで捕れたかを見ることで発生源の見当をつける材料にもなります。
机に観葉植物を置いている場合は、受け皿の水を残さないことがいちばん効きます。キノコバエは湿った土で繁殖するため、水やりの量を減らすだけで発生数が変わります。
加えて、机の上に食べ物や飲み物を置いたままにしないことも効きます。こぼれた糖分やパンくずは、そのまま虫のえさになります。作業の区切りでコップと皿を下げるだけで、机の上に虫が居つく理由をひとつ減らせます。
モニターに虫が入る問題は、構造上ゼロにはできません。それでも湿気を減らし、埃を残さず、使わないときは消すという3つを続けていれば、起きる頻度ははっきり下がります。もし入ってしまっても、まず電源を切って待つという最初の一手を守れば、被害を広げずに済みます。
よくある質問
ここでは、モニターに虫が入ったときに検索されることの多い疑問をまとめます。判断に迷ったときの目安として使ってください。
虫は自然に出ていきますか
生きている虫であれば、出ていくことはあります。虫が内部に留まっているのは、そこが明るく暖かく安全だからで、電源を切って冷やすとその条件が消えます。部屋の照明も落とし、外光の入る方向に出口を作った状態でひと晩置くと、翌朝には消えているケースがあります。
一方で、内部で死んでしまった場合は自然には出てきません。ただし死骸は軽いため、本体を傾けたり前後の向きを変えたりすると、画面の下端まで落ちて目立たなくなることがあります。取り出すことより、見えない位置に移すことを目標にするほうが現実的です。
待つ期間の目安としては、電源を切って一晩置いても変化がなく、さらに2日から3日たっても位置が動かないなら、生きている可能性は低いと判断して次の手に移ります。それ以上待っても状況は変わらないことがほとんどです。
殺虫剤をモニターに使えますか
使わないでください。殺虫剤に含まれる溶剤や噴射剤は、画面の表面処理や内部の樹脂部品を傷めます。画面が白くくもる、コーティングがまだらに剥がれるといった変化は元に戻せません。通気口から内部に入れば、基板や配線にもかかります。
加えて、殺虫剤で虫を殺しても内部に死骸が残るため、黒い点は消えません。目的である見た目の改善にはつながらず、リスクだけが残ります。部屋の虫を減らしたい場合は、モニターから離れた場所で発生源に対して使い、画面には向けないでください。
くん煙タイプの殺虫剤を部屋全体に使うときも、パソコンやモニターにはカバーをかけておくと安心です。薬剤の粒子が通気口から入ると、基板に付着して汚れとして残ります。使用後は十分に換気してから電源を入れてください。
保証期間内なら無料で直りますか
無償になる可能性は低いと考えてください。メーカーの保証は製品側の欠陥を対象としており、外から入った異物は対象外として扱われるのが一般的です。パネルを完全に密封できないのは設計上の性質であり、不具合とはみなされません。
販売店の延長保証も、自然故障を対象とするプランでは同じ扱いになることが多くなっています。まずは加入している保証の条文で、異物の混入がどう書かれているかを確認してください。そのうえで有償修理の見積もりを取り、買い替えの価格と比べて判断する流れになります。
ただし、購入して間もない時期に発生した場合は、初期不良として相談する価値があります。出荷や輸送の段階で入った可能性が残るためです。開封からの日数が浅いなら、販売店にも同時に連絡しておくと選択肢が広がります。
買い替えるなら何を見て選びますか
虫の入りにくさを製品仕様として公表しているメーカーはないため、スペック表から見分けることはできません。そのため、選ぶ基準は通常のモニター選びと同じで、サイズ、解像度、パネルの種類、入力端子の数、そして保証期間を見ていきます。
そのうえで実務的に効くのは、設置の工夫です。窓から離す、壁から少し前に出して背面の熱をこもらせない、机の上に植物や食品を置かないという3点は、どの製品を選んでも同じように効きます。買い替えで直すのは機種ではなく設置環境という順番を意識すると、同じトラブルを繰り返しにくくなります。
保証の長さは比較しておいて損がありません。虫の混入そのものは対象外でも、保証が長い製品は部品の供給期間も長い傾向があり、別の不具合が出たときに選べる手段が増えます。価格差がわずかなら、期間の長いほうを選ぶ判断で問題ありません。